「陽一、今犬がいたよな?」


「犬~?」


陽一はすっとんきょうな声を出した。


「どこに?」


俺は校庭の植木のあたりを指差す。


「白い、小さな子犬だった。

耳が垂れてて、なんか可愛い目をしてて、

首輪はしてなかった。」


「葉月、それいつの話だよ?」


いつって…


「ついさっきだよ。」


「ウソだー。

葉月、そんなに視力良くないじゃん。

こんなとこから見えるかよ。」



あ…


そうか。この教室は二階だ。