そう、と母さんはうなずいた。


「母さんの生まれ育った島の歌。

方言が難しくて分かんないでしょ?」


どこか寂しそうにそう笑っていた。


「よく弟が歌ってた、家族をおもう歌。

弟は小さい頃から身体が弱くて

父さんも母さんも弟につきっきりだった。」


母さんは独り言を話しているようだった。


「嫌だったな、みんな弟のことばかりで。

弟はめったに外にさえ出られなかったのに。

弟のほうが辛かっただろうに。」


後悔してる、と母さんは呟いた。