「お前か、ちびすけ。」


子犬はこっちを見ない。


どこまでも澄んだその目は、

じっと何かを見つめている。


その目線の先には、飛び回る蝶の姿。


「…お前には、悩みなんてないんだろうな。」


子犬が、俺を見上げた。


吸い込まれそうなほど、綺麗な瞳。


朝日が公園に射し込んで、

朝露がキラキラと輝きだす。



…すげぇ。



綺麗な光景に、思わずそう呟いた。


心地よい風に、子犬も目を細めていた。



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