「あのさ、私思うんだけど」

「ん?」

「目って人によって色が違うじゃん」

「うん」

「おんなじような色でも一つとしてまったく同じものは無いんでしょ」

「よく知らないけど、多分」

「それが、いやだ」

「?」

「今、私が見えている世界と、あんたが見ている世界ですら違うんだよ。それなのになんで」

「何が?」

「ところでさ、あんた。舟持ってきたの?」

「えっ、舟って?」

「まぁ、いいよ忘れて。静かにしてて」

「うん」

「まあ、見てな」

(ふぁぅぁぁぁぁいぁぁ)

二人の間を黒くて丸い何かが唸りながら駆けていった。

「でもね。私はあんたの為にいってあげてるんだからね」

「♪&♭*】~;♭[【♪」

「いつも通りにいくと思わないで」

「それは違う」

「んっ」

「私は私だし、私は目でもあなたでも黒い何かでも卵の黄身でも蛇でも蛙でも垢でもへその尾でもない」

「なにそれ、ウケ狙い?」

「わびさび」

「意味不明。そういうことでもいいわ別に」

「らっきょ食べる?」

「うん」

「あたし、らっきょって聞くと笑っちゃうんだよね」

「なんで」

「知らない」

「矯正外さなきゃ、色々と」

「いるのそれ」

「色々よ色々」

「あはは」

「あははは」

「あはははは」

「あはははは」

(あはははは)

黒くて丸い何かも笑ってた