運よく、そいつとは仕事場が違うため途中のところで別れる。
「俺、行くからそろそろ離せ。」
と離しながら言う。
「えぇ〜!じゃぁ、あたしの名前言ってから行ってくださ〜い!あ、呼び捨てですよ?」
いつもいつも、こんなこと言われ正直しんどい。
言わないと、ずっと話してくれないから仕方なく言う。
「み…美和…。」
すると、そいつはパァっと笑顔になった。
「ありがとうございます!!では、また休憩時間に会えたら会いましょう!!では!」
と元気よく去っていた。
はぁ、疲れる。
溜息をつきながら、歩き出そうとするとまた誰かの腕によって止められる。
今度は、誰だよとか思い後ろに振り向く。
「よぉ、伊吹。」
そこには、高校からの友達の朝川 悠の姿があった。
「なんだ、悠かよ。」
「なんだとは失礼だな。それより、さっきまた絡まれてたな、あの橋本 美和に。」
とニコっと笑いながら言う。
「他人事だと思って…。」
「いや、他人事だし?」
昔こいつこんなうざかったっけ?
俺がそう思っていると、
「あ、伊吹って結婚してるんだよな?いいのかさっきみたいなこと。奥さんに見られたらやばいぞ?」
悠は思い出したように言った。
そう。俺と妃菜が結婚してるということは実は悠にしか言っていない。
なぜなら、他の人に言ってしまうと妃菜が傷つけられるから。
