「着いたよ?おりないの?」ママが尋ねて来た。

「私待ってる。」今思えば、バカだと思う。

「おいおい、お主がいかなくてどうする!(笑)」ママは飽きれて言った。

「あ、そっか!(笑)」

私はきっと現実を知りたくなかったんだ。
お腹に赤ちゃんがいたっておろすしかないから。

そんなの嫌だった。

怖かった。




もし、いたら?
勿論おろす。

いなかったらいい。
そう願っていた。


「あらいさーん、どうぞ」
部屋の中から優し気な声が聞こえた。

「お願いします」「お、お願いします」私は母に続けて挨拶した。

「今日は、どうしました?」患者が私なんて思ってないよね…

「娘が…」ママもいいずらいよね。

ーよし!

「あの、生理が来なくてもしかしたら妊娠してるじゃないか、と思って来たんです!
私のお腹に赤ちゃんがいるか、みてください!」
言えた。ちゃんと自分で言えた!
訳のわからない達成感で胸がいっぱいになった。

「りいな…」ママが私を見る。

「では、お母さんは外で待っててください。一応プライバシーなんで。」
そうなんだ…一緒にいちゃ行けないんだ。

診察台に横になり
お腹に冷たいジェルを塗られた。

白黒の映像が写し出される。

私でもわかった。














赤ちゃんがいる。














私の中に。

絶望を感じた。

私、この子殺すんだ。