「フラワーショップの仕事…。藤堂さん家…って隼の藤堂さん?」
「あぁ」
「うん…。確かに厳重な警備だった。龍崎さん家も行ってるけどそれって司の家ってこと?」
「クスッ…そうだな」
「なんだぁ。そうだったんだ。極道さんなんだ。偉い人の家なのかと思ってたよ。だって門にも玄関にも組って書いてなかったよ」
「書いてねーよ」なんて2人していうから
DVDで見たのは書いてある…と言おうとしたら
「自宅と事務所は違うんだよ」
私の疑問を簡単に解決してくれた。
「ねぇ…キャバクラとかクラブとかの花も2人が関係してる?」
なんで急に繁華街の仕事が増えたのかと思っていた。
たくさんの花を入れ替えるので店長は大喜びだけれど
私が指名の店舗だけでも夕方は毎日お店にいられないほど忙しい。
「あれは、無関係とは言わないけど頼んだのはお袋だ」
隼が言った。
「由香里さん?」
「由香里さんって呼べって言われたのか」
「うん。本当に綺麗な人だよね。優しいし、いつもお茶して美味しいケーキ出してくれるの」
「結衣の活ける花が相当気に入ったらしくてお袋が指名したんだ」
その言葉は、すごく嬉しい。
「うちもお袋だ。付き合いの長かった花屋全部切って結衣のとこだけに決めたってよ。いつも来るのが楽しみだってうるせぇ」面倒くさそうに司が言った。
それでも、私は嬉しい。
自分の活けた花を喜んでもらえて気に入ってもらえるなんて幸せな事。
「佐和子さんは、可愛いママだよね。極道の妻に見えないよね?お花をかえに伺うと佐和子さんにもケーキごちそうになる」思い出し笑いした。
「何が佐和子だよ」ってまた面白くなさそうに言うけど
私が知らないところでまた関わりが深くなっていたんだなと思うと不思議な気分。
