【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



悔しくて悔しくて涙が止まらない。


一瞬驚いたような顔をしながらも悲しく曇り



「そうか・・悪ぃ」


泣いている私をぎゅっと抱きしめた。




この人はわかっているんだろうか。



あれほど外で話しかけるな。


知らないふりをしろと自分が言っていたのに。



親しくなればなるほど知らないふりをされることが淋しくも感じていたのに。




それなのに、今この人通りの中で自分から話しかけ抱きしめている現状をわかっているんだろうか。



もうこの通りすら歩けないんじゃないだろうか。



この街にも近づけないんじゃないんだろうか。



抱きしめられて泣きながらそう思うともっともっと悲しくなった。