早くこの場を去りたい一心で、
静まりかえった店内に
「すみません。お騒がせしました」
お詫びをして
「ちゃんとタクシーに乗るから」
引き止める大和さんの声も
司の手もふりはらって出口に向かって歩きだした。
「ごめんなさい。でも、お願いだから、もう…1人にして」
追ってきた2人に言うと重厚なドアを開けて外へ出た。
当分来るのやめようと思っていたからちょうど良かったのかもしれない。
頬の痛みよりも心の痛みの方が大きいままBRILLIAのあるビルの前に立った。
タクシーを拾おうとあたりを見回したけど
最悪なときは最悪がつづくもんだ。
いつもはすぐ通るタクシーも一台も姿が見えない。
それでもこの場にいる事がもういたたまれなくて一歩二歩と大通りへ続く道を歩き始めた。
早くタクシーに乗ってここから消え去りたい。
かなり飲んでいたので高ぶる感情の波に涙が出そうだった。
