AILESへ足を踏み入れるとこの間活けた花は、まだ楽しめるほど元気だ。
ブルーワンダーは、気持ち勢いを失いつつあるが、今回もきちんと花が切られているところがあり、先に終わってしまった花を誰かが手入れしていたのがわかる。
「ラ・フルールです」声をかけると黒服の男が出てきて
「社長の機嫌がよくて助かるよ。今回も頼むな」
その声からこの方が黒埼さんだとわかった。
私は前回と同じように作業を始め、一輪ずつオアシスへと刺した。
「これ、何の花?」黒崎という男は不思議そうに聞いてきた。
「バラなんですよ。友禅バラ」
「バラ?全然違うね」
「色がだんだん変わっていくので楽しんでいただけると思います」
「バラかぁ・・」と言いながら何度も花を覗きこんでいる。
「こっちは、結(ゆい)というバラなんです」
「へー」
活け終わると少し下がりまた全体のバランスを見て整えてた。
