【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



車で店へ戻ると店長は、まだ戻っておらず


長い間のお得意様とお茶を楽しんでいるのがわかった。



住宅街にほど近い場所にあるフラワーショップだが、定期的に自宅の花の入れ替えの依頼は数少ない。


大半の人が記念日や気分転換、プレゼントとして花束や完成しているアレンジメントを購入していく。


だから、ご自宅での依頼もかなり貴重である。



「すみません、誕生日プレゼントなんですけど」



恥ずかしそうに男性が入ってこられたので少し会話をしながら希望やイメージを伺う。


たいてい「花なんて全然わからない。」と仰るので


その方のイメージなどを伺って予算にあった花束を仕上げる。


そして、誰もがその花束を一度見て嬉しそうな顔をしてお店を出ていかれる。


わたしたちも自然と笑顔になる瞬間だ。



パタパタと接客をしていると店長がいつの間にか戻ってきていた。


「AILES終わりましたけど、結果はわからないので次のお約束もしていません」
申し訳ないと思いながら伝えると

「あぁ、継続に決まったから大丈夫。結衣ちゃん指名だよ。良かったね。次は花の状態で連絡くるよ。大きい花瓶だから大変だったかい?」



「それ、ちっさいからとか思ってます?あははは。でも良かった」



「ちっちゃいのが結衣ちゃんだからいいんだよ。あはは。AILESな…あそこは、勿体ないぐらい花の入れ替えをするんだよね。それだけお客さんの目に留まる位置にあって飾られた花もスタッフと同じだとオーナーが言ってるらしい。夏場は特に日持ちがしないからね」


「日持ちする花でも入れ替えしてますよね。でもオーナーさんはお花がスキなんだと思いますよ。ちゃんと手入れされてました。スタッフと同じならなおさら体調にも気を配られているでしょうからそれで連絡って形なんでしょうね」


「まぁ曜日が決まっていない上にダメ出しされてたから勇人は絶えず病んでたけどな」



「でも、曜日じゃなくて花の状態っていうのが一番理想ですよね」


床に落ちている切った茎や落とした葉をちりとりで集めながら契約終了にならなかったことにホッと胸を撫で下ろした。



閉店時間になり片付けが終わると


スーパーで夕飯の買い物をして嬉しさから軽い足取りで帰宅した。