【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



大きな花瓶から古いオアシスを抜き取り割らないように慎重にシンクへ運んで中の水を捨てたりして新しく活ける準備を整えた。


一度呼吸を整えてイメージを整理し1輪ずつ新しい花へと入れ替える。


カラーの花をメインにブルーワンダーをアクセントにして準備してきた数々の花を活けていく。

時折立ちあがると少し下がって全体のバランスを確かめた。



もっと情熱的な花の方が良かったのかな…なんて思ったけれど


乙女のしとやかさという花言葉にぴったりなカラーの花に感謝の意味を持つブルーワンダー。

水商売というこの場所であっても働く女性たちの心の奥にある


もうひとつの姿をイメージして活けた。



自分では大満足だが、評価するのは私ではない。


社長の評価も大事ではあるが、それよりもこの花を見た人が少しでも心が癒されたり笑顔になってくれた方が私は嬉しいかな。


そんな自分が可笑しくなり店長ごめん。なんて想いながら切り落とした茎や入れ替えた花をまとめ片付けていた。


「うわっ。今までとイメージ違いますね」


社長のご機嫌がかかっているのだからこの黒服の男は出来栄えが気になるのであろう。



「お店で働く女性たちのもうひとつの姿をイメージしました」


私がそう答えると


「花のことは良くわかんないけど、いいんじゃない?」と微笑んでくれたので私はもうそれで満足になる。


「忘れずにお水を足してあげてくださいね」



「はいよ」右手をあげて答えてくれたその姿に安心して


私は、店を出ると停めていたパーキングへ行き車へと乗り込む。


「はぁ…なんか緊張した」

独り言をつぶやき


「店長、ごめんねー」呟くようにもう一度謝ってからエンジンをかけて店へと戻った。