「組長…」
植木さんが立ちあがった。
「なんだ植木」
「自分らがそう思うのは、結衣さんがそうさせるんですよ。お聞きになられたかも知れやせんが、結衣さんが仲間を信じてます。今までも今日もこれからもっておっしゃるんですよ。
3Fのベランダから飛んでくれと言ったのに驚きもせず迷いもせず。はいって飛びおりたんですよ。それがどんなに有難かったか。言葉でなんか表わしきれやせんよ。
姐さんが同じように逃げ回った日の事も思い出しましてね。諦めたら負けですよ。最後まで走って逃げ切って下さいってお声をかけたら、はい。ありがとうございますって嬉しそうに走っていかれた姿ですよ。
結衣さんとお2人は同じですよ。いつも、はい。ありがとうございますって。結衣さんを見るたびに話すたびに堅気から極道の女になった姐さんの事を思い出しやす。
当時は姐さんにしてやれなかったことを結衣さんにはしてやりてぇな。そんな気持ちなんです」
その言葉に由香里さんは今日も大粒の涙を零していた。
そういえば由香里さんも一般家庭の人だった。
「由香里さん」って声をかけたら
「結衣ちゃん、私たち同じだって」
「はい。嬉しいです。由香里さんみたいになれるように頑張りますね」
2人で泣き笑いした。
