「だから走らされたんだ」
貴裕さんも笑いだした。
「え?」
「代々、藤堂は傘下も含め若頭が結婚を決めたらその相手は同じように走って逃げるのよ」
佐和子さんは面倒そうな顔をしながら教えてくれた。
「どうして突然なんですか?」
「だっていつ襲ってくるかわからないでしょ?だから突然。敵に捕まるようでは、認めてもらえないの」
由香里さんもやれやれという顔だ。
「認めてもらえなかったら?」
「逃げ切れるようになるまで結婚できない。認めてもらえない」
司が吹き出しながら言った。
「司の時もここで走るの?」
「そうよ。わかる?この人と私はその時も走るわ」
由香里さんは本当に面倒そうに言ってるけどそれでもどこか楽しそう。
「あれほど、守ってやるとか絶対に助けるって言ったのに隼も司も頑張って逃げ切れって笑ってるだけで、もうゲンコツだと思ったよ」
「そういう時ってさ真っ先に狙われるのはこいつらなのよ。だから女も自分の身は自分で守れるようにならなきゃいけないの。その為に隼は手が出せない。司も同じ」
佐和子さんの話で納得した。
