「結衣、こっち来る?」
やっと助け舟を出してくれたので
うんと頷き立ちあがろうとしたけど隼さんの手が腰にまわされていて身動きがとれない。
気のせいかさっきから私の匂いを嗅いでいる気がして
肩を竦めながら隼さんの方を見るとすぐ間近に顔があって
慌ててまた俯いた。
絶対にまた顔が赤い。
もう顔があげられなくなった。
「隼、まじで結衣はダメだから。離して」
「だよなー。俺だよな~」
司さんの手がまた私に伸びてきたけれど
「司なんかも~~~~っとダメ。病気がうつる」
隼さんと司さんの頭をポンポンと叩いて私を春香さんの隣へと救出してくれた。
助かった…。
本気で思った。
「しかし出会っちゃう時は出会っちゃうもんだね」
春香さんは面白そうに笑い
「隼は、結衣の初体験を見た男だもんね」なんてまた意味ありげに言うから
私も隼さんも思わず吹き出した。
