澤田さんと岸本さんが取りに来てそのお茶を運んで行った。
私は渡辺さんと自分の分のお茶も入れまたテーブルについた。
前に渡辺さんが座り入れたお茶を口にすると
「あぁ。ほんとだ。うめぇなぁ」
「私、物心つく頃には母が亡くなっていて父だけだったんですけど、子どもながらに父の喜ぶ顔が見たくてね。お茶を飲むと美味しいっていう笑顔が嬉しくて嬉しくて、その顔が見たさにもっと美味しくもっと美味しくって頑張ったんです」
「あぁ…これは確かに笑顔になるくれぇうまいお茶だよ。結衣さんの親父さんはどちらに?」
「父も3年前に亡くなって今は喜んでもらえる人がいなくなっちゃいました」
「結衣さんの親父さんの代わりにあっしが喜ばせていただいて申し訳ないっすね」
「ううん。また笑顔が見れて嬉しいです」
「もう一杯いただいてもいいですかい?」
「はい」
私は、父を思い出しながら渡辺さんにお茶を入れた。
