【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



食事が終わると先に戻っていてと隼に言い


私は玄関へと走って行った。



だけど植木さんの姿がなくてがっかり。



仕方がないから部屋までとぼとぼと歩いていたら


「結衣さんどうしました?」


植木さんの声がした。


「植木さん」思わず私の声が弾む。


「玄関に行ったけど植木さんがいらっしゃらなかったから」


「わざわざ会いに来て下さったんですか。すみませんね」


いつもの優しい笑顔だ。



だけど今日はネクタイもビシッとしめて黒のスーツ。


スーツ姿の人が多い家の中だけど普段の植木さんは違ってた。


「お出かけなさるんですか?」


そう尋ねると


「出かけませんよ。若からは何も?」


「今日は部屋から出るなって言われました」



私の言葉に少し笑うと


「若が出たらいけないと言ったんですか」


「そうなんです。退屈でどうしようかと」


溜息をつきながら言うと



「人間ってやつはね、大切だったりいいものだったりするとそれを人に見せたいやつとひっそり閉まっておきたいやつと2通りいるんですよ」


「それは少しわかります。私なら大好きな人にしか見せないで後はしまっておく。1人でこそこそ楽しむかな」


植木さんはさらに笑いながら


「そういうことです」と言った。


「それが部屋から出ちゃいけないことと何の関係が?私には見せたくないものがあるんですか?」


ちょっとショックだった。


だけど植木さんは「若に今日、一緒にいていいか聞いてごらんなさい」


そんな事を言った。



「だって部屋から出るなって言われたんですよ」


「それでもです。さぁ早く戻って若に言ってごらんなさい」


そう言われたから、私は急いで部屋へと戻っていった。