「司にもある?」
「あぁ。司も昇り龍が彫ってある」
「今度見せてもらおう」
「結衣」
「ん?」
「お前バカか?」
「なんでよ」
「それ絶対に司に言うなよ」
「なんで?失礼?」
「そうじゃねーよ」
その後は隼に窒息するぐらい口を塞がれて
やっぱり危険はどこにでも潜んでいると思った。
当然、私は真っ赤だけど隼は嬉しそうで何か悔しい。
隼が私にしてくるキスの意味は何だろう。
期待してしまう自分も恥ずかしい。
BRILLIAでの女の人たちの事を思い出せば、何てことないのかなとも思い
少し悲しいけれどドキドキ感は止まらない。
そのドキドキ感を悟られないように
「刺青、反対派だから」
赤くなった顔を隠しながらもう一度言うと隼は笑った。
「まぁ、昔と違って今は刺青でやりにくい仕事もある。極道の世界も様変わりしてビジネスにも進出してるからな。それには刺青がない方がいいのも確かだ」
「温泉とか入れないのつまらないしイヤ」
「結衣は一緒に入る気でいてくれてるんだ」
「え?」
「今そう言ったろ?」
私は慌てて大きく首を横にブンブンと振って否定した。
「違う違う。全然そういうことじゃないから」
隼はその後、いつまでも笑ってた。
だけど刺青を入れないとは決して言わなかった。
もしかしたら隼の心の中にはやっぱり入れたいという気持ちがあるのかもしれない。
