「おい。司、春香がぶっ飛ばしに来るってよ」大和さんが私のバッグとマティーニを持ってきた。
いや…持ってこないで連れ出してよ。
そう思ったけれど「ゴメン」と口が動いたのがわかったから
少し我慢しようと思った。
大和さんのお店の大切なお客様だ。
私も客商売をしているのでお客様の大切さはわかる。
大好きな大和さんのお店の為だと思うと露骨にイヤな態度は出来ない。
それに春香さんがきてくれると言っていたから少しの間の辛抱。
「ねぇねぇ名前教えて」
やっと司という人の顔をちゃんと見た気がする。
「結衣です」
「俺、司」名前を言うとニコッと笑った。
この強引で軽そうな男は、それを知らなければ、女の子がスキそうな男だ。
キャラメルブラウンで少し長めの柔らかそうな髪にゆるいウェーブがかかり
グレーのカラコンで瞳は大きく顔のパーツのひとつひとつが
オートクチュール?っていいたくなるぐらい綺麗。
隼さんがWILDなら司さんはMILD
どっちが悪役でどっちが王子かなんて全員一致で決まりそう。
