私は部屋に戻り後片付けをすると段ボールと花を持った。
歩いていてスマホで地図を確認したいけれど、手が離せない。
待てよ…
まずはここでしょ。それからあったあったこの印だ。よしOK
それからえっと…あれ階段ないし。どこで間違った…
少し戻るけどわからない。こっちか?
あれ…違うみたい。何なのこの家。
どうやら迷ったようだ。
段ボールを置いてスマホを出して地図を見たけど
自分が今どこに立っているのかがわからない。
元に戻ってやりなおしたいが和室へも戻れない。
「あの…すみません。どなたかいらっしゃいますか」恥を忍んで声を出したけど誰もいない。
三浦さんって呼ぶ?…いやさすがにさっきの今じゃ恥ずかしい。
少し進んでからもう少し大きい声で
「すみません。どなたかいらっしゃいますか」
スーッと襖が開くと「結衣さんどうかなさいましたか」
オールバックの20代ぐらいの男の人が出てきた。
「秘密は守れますか?」
小さい声で囁くと
「もちろんです」すごく真面目に答えてくれるから
「すみません…迷いました。あははは」思わず笑ってしまった。
「お部屋でよろしいんでしょうか」
「は…はい。お願いします」
真っ赤な顔で何度も頭を下げる私を見て
「大丈夫ですよ。自分も何度も迷いましたから」
「そうなんですか?」
「目印ないから難しいですよね」
「そうなんですよ。どこも襖や障子しかないからややこしくて。玄関まで行けないとお迎えに行けないから困るんです」
目下の目標は部屋と玄関のスムーズな移動だ。
「それなら、玄関まで目印をつけてさしあげますよ」
そんな嬉しい言葉で私は、はしゃぐように
「ほんとに?お願いできますか?でも叱られないかな?」
「大丈夫ですよ。目立たないように柱の上の方に印をつけておきますからそれを目印に進んで下さい」
思わずヤッタ!と小さく呟いた。
