【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



私はまた頭をさげて植木さんの隣へ戻った。


「お部屋がわかりませんか?」なんて言われて


「それもあります」思わず吹き出すと


「あぁ…龍崎の若をお待ちですか」


「すぐに戻ると言ってたので、迷子になるより待っていようかと。ここにいたらお邪魔ですか?」


「いいえ。大丈夫ですよ」


植木さんは私の話相手になってくれた。


「司がね、迷子にならないように地図を作ってくれたんです」


私がスマホに保存した写真を見せると


「失礼」と言って横を向いて笑ってから


「これは便利ですね」


「今笑いました?でも、目印がないので、本当に厄介なんです。方向音痴なわけじゃないんですよ。それでも同じ襖ばかりで、方向を見失うんです」


「みんな最初はそうですから大丈夫ですよ」


「司はこういうとこ気がきいてすごく優しいですよね。隼は、迷ったら誰か呼べって言ってそれで終わりなんです」


「若は、少しずつ覚えていくのが楽しいと思っていらっしゃるんでしょう」


「そうかもしれないですね。あと、会話もね。司と話してると話しが早いんですよ。隼は、すぐ会話の電池が切れて あぁ?とかあぁとか、ん?とかそんな言葉になっちゃうから、音でいいか悪いか判断しなきゃいけないんです。しゃべるうちに聞きたいことを先に聞かないとわからなくなるんです」


「若は、結衣さんと良くお話になられてると思いますけどね」


「電池切れるの早いですけど、話相手になってくれようとしているのはわかります。もしかしたら隼は苦痛かも…ウフフでもそのお陰で隼の笑った顔たくさん見れてますよ。レアですよレア」


「結衣さんがとても大切なんでしょうね」


「そうでしょうか。チッって舌うちを昨日から10回以上されてますよ」


「昨日、抱いてお帰りになったとき、本当に悔しそうな顔をなさってた。でも、結衣さんの容態について組員が伺ったときには、ホッとした顔をされてね。大切な方なんだって誰もが思いました」


「それなのに舌うちですか?」


「無口だから、自分の気持ちがうまく伝わらなくて歯がゆいんだと思います」


「なるほど…。じゃあもう少し聞いてあげま。」


「そうしてあげて下さ。」


「はい」