「結衣、行くか」隼に声をかけられた。
「うん」
食器をまとめようとすると
やらなくていいと手をとめられた。
奏君も「結衣さんやらなくていい」なんてクスクス笑っていたけど
食べたものぐらいは下げないと何だか気がひける。
これだけの人数だから余計に申し訳ない。
「結衣さん、当番がいるから大丈夫です」
近くの席にいた組員さんが教えてくれた。
私はお礼を言って隼と奏くんと一緒に食堂を出た。
「俺、今日大学あるから出ちゃうけど大丈夫?」
「大丈夫よ。小さい子扱いしないでよね。年上よ」
「あはは。ごめん。つい…家ってお袋しか女の人いないからさ」
そうか…この広い家にこの大人数がいても女の人は由香里さんだけだったんだ。
だから話相手が欲しかったのかもしれない。
一緒に話してお茶を飲んだり、ケーキを食べたり
そんなことが由香里さんにはとても楽しいことだったんだと気がついた。
