「昨日は怖い思いをしたな。もう大丈夫か?」
組長さんが心配そうな顔で聞いて来て
「この食欲ですよ。もう大丈夫です」
「結衣ちゃんっ」
由香里さんが吹き出した。
「組長さんに夕べご挨拶が出来ずに申し訳ありませんでした。」お詫びを言うと
由香里さんはもっと笑いだし
「どう?組長さんって可愛く呼ばれるの。おじ様の方がいいですか?聞かれたわ」
涙を流してまで笑う。
隼も身体を震わせながら
「やくざさんとか極道さんって言うんだぜ」
由香里さんはお箸をおいて笑い出した。
「へ…変ですかね。な…なんておよびしたらいいですか」
慌てて聞くと
「お前が由香里さんで俺が組長さんって差別だな。組長さんも可愛くて捨てがたいしおじ様もいいよな」
小さく笑うと
「響さんって名前で呼んでくれ」と言われた。
え?滅相もないと顔がひきつると
「言ってごらん。響さんだ」
深みのあるバリトンが耳に届く。
その深みのあるバリトンボイスにすっかり酔った。
「響さん」
「いいなぁ~」
少し高い音でそう言って笑いだし、
由香里さんも「いいわよね~」って楽しそう。
前で食事をしている組員さんたちに助けを求めるように見つめたけれど
うんうん。って頷いているから「響さん」と呼ぶのが一番なんだと思った。
