「はじめまして、吉永結衣です。お世話になります」
私が立ちあがって挨拶をすると
「おはよう。ゆっくり眠れたかな?」
優しく話しかけてくれる声はこれまたバリトンで、恥ずかしいほどうっとりしてしまった。
もっともっと深みのあるバリトンだ。
「は…はい。お陰さまでぐっすり眠れました」
まぬけな顔をしていたであろう自分に慌てながら答えた。
ところがそのステキなバリトンが
由香里さんに席を代われと言いだし、由香里さんもイヤよと答えると子どもみたいに言いあいになった。
「隼、お前どけ」
隼と席を交換する気みたいだ。
隼も「うぜっ」なんて組長さんにひどい態度で
私が困っていると仕方ないって由香里さんが立ったままであいている私の席に座り、
私を由香里さんの席に座らせた。
そしてその隣は組長さん。
「…」
隣はさすがに緊張する。
かおを見て話しをするのも気恥かしい。
それなのに緊張している横から
「無視していいから」って舌を出す由香里さんに驚いた。
