「結衣ちゃんを怪我させたテーブルを捨てるいい機会だと言いたいけど、どうやらテーブルじゃないらしいね」
そう言われ、ハッとして隼の顔を見るとうんって頷いてくれたから
「すみません」と謝った。
「じゃあ、行こうか。今日は店も休みにしたから黒埼も帰っていいわ。ほんとあんたのお陰で助かったよ。ありがとう」
「いえ、間に合って本当に良かったです」
私も隼さんの膝から降りようと身体を少し動かすと
「このまま行くぞ」
隼が立ち上がろうとした
「歩ける」って口を動かしても
「腰がぬけてて絶対無理だ」って言うからそうなのかもしれない。
経験がないからわからない。
だけど私の身体は完全に隼にもたれかかっていたから、経験豊富そうな人の言うことは聞いておこうと思った。
「ごめんね」って口を動かすと
「あぁ」って笑ってくれたから何か嬉しかった。
