「家のカギはハァハァ…お店のロッカーの中です。ロッカーのカギは…」
一生懸命口を動かしながら
エプロンのポケットの中から取り出そうとするけど手が震えてうまく出せない。
ゴソゴソっと隼がポケットに手を入れてカギを2つ取り出したから
ロッカーのカギを指さした。
「こっちは、車のカギだよな?」
「あっ…うん。…店の車…それに連絡」
声にならないけど一生懸命伝えると
「車も今戻すから大丈夫よ。店には途中から電話して、怪我をしたから暫く休むと伝えてあるし、結衣ちゃんの様子を見てから改めて連絡しますって話してあるからね。私がちゃんとかけておくから心配しないで」
「はい」
カギを受け取った由香里さんは、ドアの方へ歩いていきすぐに戻ってきた。
誰かを待たせていたらしい。
