「結衣ちゃんと暮らせるなんて楽しみだわ。何も心配いらないからね」
はしゃぐ由香里さんに死にそうな目にあったことすら夢なんじゃないかと思った。
正直なところ1人でいるのは、ホテルであっても怖いかもしれない。
知らない人ばかりなのだから。
知ってる人が一緒にいてくれる…
そんな安心感を私は選んだような気がする。
「結衣ちゃん、部屋のカギかしてくれる?春香と大和で結衣ちゃんの必要なもの運びだしてくれるって待ってるから。ご両親もちゃんと連れてこないとね」
私の両親が亡くなったことを知っている由香里さんが
そこまで気にかけてくれたことは本当に嬉しいが、
あまりに手はずが整っていて拒否権などないということは、明らかすぎて
はなから行きつく先は決まっていたんだと思う。
抵抗は無駄なことに早く気づいてよかったのかもしれない。
