「大丈夫です。切られていますが、傷も浅く出血も止まりました」
隼は、ホッとしたように息を吐くと
「結衣、手も大丈夫だって。痛かっただろ」
聞こえていたのに、歪めた顔でわざわざ説明してくれた。
うんうん。と隼の目をみながら頷いた。
また怪我か…と思うと憂鬱な気分だけれど命があっただけありがたい。
手の傷なんか花屋に勤めていたらしょっちゅう出来る。
知らない間に切れていることもあるからそのぐらい何でもない。
それは、本当に黒埼さんのお陰で
指で涙をふくと黒埼さんの方へ向いて
ありがとうございましたと口を動かして頭をさげた。
由香里さんにも隼にもありがとうってお礼を言った。
「出血もすぐに止まったしちゃんと消毒しておいたからね。俺、傷の手当て上手いから心配いらないですよ」
黒埼さんが救急箱を見せながら笑った。
