【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



「大丈夫です。切られていますが、傷も浅く出血も止まりました」


隼は、ホッとしたように息を吐くと


「結衣、手も大丈夫だって。痛かっただろ」


聞こえていたのに、歪めた顔でわざわざ説明してくれた。


うんうん。と隼の目をみながら頷いた。


また怪我か…と思うと憂鬱な気分だけれど命があっただけありがたい。


手の傷なんか花屋に勤めていたらしょっちゅう出来る。


知らない間に切れていることもあるからそのぐらい何でもない。


それは、本当に黒埼さんのお陰で


指で涙をふくと黒埼さんの方へ向いて


ありがとうございましたと口を動かして頭をさげた。


由香里さんにも隼にもありがとうってお礼を言った。


「出血もすぐに止まったしちゃんと消毒しておいたからね。俺、傷の手当て上手いから心配いらないですよ」


黒埼さんが救急箱を見せながら笑った。