「結衣、大丈夫だ」
「結衣、もう心配いらない」
囁くように名前を呼ぶ声も優しすぎるから
恐怖感のあとの安心感で涙がなかなか止まらなかった。
「結衣ちゃんお水飲める?」
由香里さんがグラスにお水をいれてもってきてくれた。
ハンカチで涙もふいてくれた。
私は頷くと落ち着けるように少しずつお水を飲んだ。
「結衣、泣きながら飲んだらしょっぱいぞ」
隼の言葉に口元が緩んだ。
「結衣、顔の痣が良くなってきたら今度は首に痣だぞ」
笑うように言うから
「え?」と口を動かすと
「声出ないか。少ししたら出るようになるから心配するな。首の痣も消える」
優しく話していてくれた隼が私の右手をそっと取ると
「ここは!手は!」
怒った声が黒埼さんへ投げかけられた。
