ポケットの中のスマホが震え一瞬気を取られると
腕をグッと引かれAILESの横の路地に引き込まれた。
「キャッ」
「静かにしろ」
見も知らない男に壁際に押し付けられ首元にはナイフ。
持っていた荷物は下へと落ち
恐怖でガタガタと震えがきた。
まだ歳も若くやくざには思えない。
だけど、隼や司もやくざには思えなかったので私の見る目はあてにならない。
どちらにしろ今の私が危険な状態にあることは間違いない。
「誰…」
震えた声で聞いたけれど
「黙ってろ」
そう言って私の口を左手で抑えつけると
ひんやりとしたナイフの冷たさが私の身体を強張らせた。
