【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀



いつものようにパーキングへ車を停めて花と荷物を取り出していると


背中がゾクッとした。

とてもイヤな感じでちょっと怖くなった。


人の気配すら感じるようになってきていた…。


思いすごしとわかればそれで安心だ。


今夜、必ず相談しよう。



そう思いながら急いでAILESに入り


すっかり打ち解けた黒埼さんと話ながら花の入れ替えをする。



ここ最近は、必ず花の名前を聞かれる。



それから花の匂いも嗅いでいる。



どうやら結の匂いがスキらしい。



「また活けますね」


声をかけると嬉しそうな顔をする。



花の香りもまた人の好みがあり、香り立つ匂いがスキな人もいれば


微かに香る方がスキな人もいる。


甘い匂いでも、花によって千差万別でそれも楽しさのひとつなんだと思う。



片付けが終わり店を出ようとすると


「俺まで花が楽しみとか笑えるよな」照れくさそうに言う黒埼さん。



「花屋冥利につきますね。黒埼さんが優しい方なんですよ」



笑顔で答えて私は、AILESのドアを開けて外へと出た。