「いいじゃん。今はウチからきたんだよ!!」
「それは優佳が私に用があるからでしょ。」
「いいの!じゃぁね。」
全く自分勝手なのだから。
なのに憎めない。
背はいつも一番後ろで、どう考えても雰囲気には大人っぽさがある。
なのに、可愛くしか見えないのだ。
「はぁ。6組か。」
いやでも浅川に会わなければならない。
私の中で恐怖と不安が生まれる。
「まぁ、なるようになるか。」
そうつぶやき、私は次の授業の仕度をした。
・-・昼休み・-・
私は約束通り、6組にむかった。
「優佳いるぅ?」
優佳を探すフリをしながら浅川を探す。
すると後ろから小さな声で
「浅川は他のクラスに遊びに行ってるよ~。」
と、ささやかれた。
ビックリしながら後ろを振り向くと優佳がいた。
「優佳!!」
少し顔を赤らめながら叫んだ。
「まだ好きなら告ればいいのに。」
ニヤけた顔で私をジロジロ見てくる。
何も言えない私を見て満足そうに
「そんじゃぁ、1組行こう!」
と、言い出した。
「うん。」
素直に返事をしてから気づく。
「私来た意味ないじゃん!」
「何言ってんの!?ウチを迎えに来たんでしょ!?」
わけのわからない言動にお手上げの私。
「とにかく、早く1組行くよ!!」
「はい。」
諦めた私は素直に優佳の指示に従った。
1組に着くと教室には浅川がいた。
顔が熱くなるのと、鼓動が早まるのが分かる。
それでも平常心を装い、私は自分の席に優佳を案内した。
たぶん優佳は、私の様子が変だということに気づいているだろう。
そして、その理由にも気づいているだろう。
だがあえては触れてこない。
これが、優佳の優しさだ。