出会いの本〜出会えてよかった〜


ぜぇはぁぜぇはぁっ


息も絶え絶えとなりながらようやく自分の席に着く。


「美冬どこ行ってたの?」

今それを聞くな。ダメージが大きいんだよ。

「あ、あはは…。1組と友達に会いに…」

友達っていうか…

「なんでそんなに疲れてるの?」

「なんでだろうね…」


キーンコーンカーンコーン


授業の始まりのかねよ…

グッジョブ!

「じ、授業始まるよ!ほらほら、先生来ちゃうよ!」

話題をそらす私。

「なんか怪しぃなぁ〜」

「あはは…」

なんかこれ、何年も前から仲が良かったみたいな関係。

きっと崎森さんの人の良さなのかな?




カリカリカリカリ

シャーペンの音が教室中に木霊する

先生が何か言ってる

それを軽く頭に入れながら私は窓から空を眺める。

風早!とお咎めがありそうだがきっと話すことに夢中で私になんか気づいてない。

ただでさえ空気な私なんかに。


まるで先生の言葉をBGMにするかのようにしていた私はあることに気づく。

BGMの中に雑音のようなものが混ざってる。

先生以外の声が聞こえる。

「…せ…えせ…」

私は気づく。

これって、美咲に取り憑いてた!

声が聞こえてくる方向が分からない

「返せ…返せ!」

だんだん大きくなるその声

耳を塞いでも聞こえてくるその声

「返せ!思い出せ!」

思い出せ?

また!?私が何を知ってるの!?


「うるさっ」

私の叫びに合わせるかのように

キーンコーンカーンコーン

チャイムが授業の終わりを告げた