「頭を上げて下さい、お母さん」
私の言葉にゆっくりと頭を上げていった多恵ちゃんのお母さんの顔からは大粒の涙が流れ落ちていた。
そして私と視線が合うと目を細め、満面の笑みを私に向けてくる。
私によく似たその顔で泣かれると、ちょっと複雑な気持ちになってしまう。
「多恵ちゃん、良かったね」
『うん、お姉ちゃんのおかげだよ。ありがとう』
-チュッ-
そう言った多恵ちゃんは私の傍まで歩み寄り、そして頬にキスをしてきた。
霊体であるから触られる感触はなかったけど頬にスーッと柔らかな風が吹き、そこが少しこそばゆく感じた私は思わずクスッと笑ってしまった。



