「私が多恵ちゃんを守るから…ね」


『オ…カア……チャン………ッ』



私をお母ちゃんと呼ぶ多恵ちゃんの魂の入った市松人形をギュッと抱きしめながら、村長さんに目をやる。



薄暗くてあまりよく見えないはずの村長さんの表情が、ニヤリと笑っているように見えた。





村長さんを見ていると、嫌な予感がするのは気のせいだろうか?


そういえば村長さんの事で瑞希と話しの途中だったな…と思いながらも、村長さんに聞きたい事があり問いかけた。




「…多恵ちゃん達には手を出しませんよね?」


「手を出す?何を言っているんじゃ。…もう死んでいる者に手の出しようがないねぇ」


「えっ?」




その言葉に違和感を覚えた。


死んでいる者に手の出しようがない?




その言い方からするとまるで…、


生きている者には手を出すって事…ではないよね?