荒れ果ててはいない、田園。
これから稲穂になるであろう青々とした葉が、田んぼからひょっこり顔を出している。
誰かしらが手をつけているというのが見て取れるこの田園に、人を見かけなくても確かにこの村に幾人かの人達が住んでいるのだと分かり、少し安心した。
本当にのどかだな…。
土や葉っぱの香りが鼻腔をくすぐり、心地良さに包まれる。
その半面---
どこからか…、
不思議な程の陰気臭さも漂わせているように感じて、不安が私を押しつぶしていく。
雰囲気と言うか…、
肌に触れる空気が気温自体は寒くはないのに、なぜかゾクッと悪寒がするのだ。
この村に入った瞬間、感じた違和感のあるこの空気---



