「その人形…」
『タノンダコト イガイ シナイデ』
宙に浮いた市松人形がそこにいた。
それを見た木崎さんは、力が抜けたようにひとまとめにしていた私の手を離し私の上から下りる。
木崎さんの表情は後ろ向きで私からは見えないけど、辛そうな声色で呟くように言っていた事に違和感を感じた。
普通、人形が目の前で浮いているのを見たら凄く驚くはずなのに---
「お前、本当に?」
『………』
さっきまでの気迫はどこに行ったのか、木崎さんは力なくペタリと地べたに座り込んでしまった。
「木崎さん?」
「……が……むらだとよ」
「えッ?」



