【嵐side】
 私には記憶がない。
記憶が始まったのはだいたい一時間前だ。自分が何をしていたかもわからない。気がつくと前に黒と白の仮面をかぶった人が立っていた。その人が言う。
「君はもう人間じゃないんだ。ロボットなんだよ。」
え!?私がロボット!?
「どういう意味ですか?」
「いつかまた説明するよ。亜魔野、嵐を安呂夭に連れて行ってくれ。」
「わかりました」
うしろから黒いコートを着た背の高い優しそうな顔の男の人がでてくる。
「はじめまして、嵐さん。亜魔野です」
亜魔野さんという方は、深々とお辞儀をすると「さぁ、行きましょう」と言って私の手をとってくれた。
そして私が連れてこられたのは「地下の家」と書いてあるところだった。中にはいると下る階段が目の前にあった。その階段をおりたところに「Aron」と書いてあるドアがあった。そのドアは最新型の自動ドアだった。ドアの前で、
「嵐さん。これからあなたが過ごす場所はここです。あっ、でも実は・・・嵐さん以外は全員男の子なんです・・・(苦笑)」
ぜっ、全員男!?私はビックリしすぎて気絶しそうになる。そんなことをしらない亜魔野さんはドアに手を当てる、ドアが静かに横に開く。その先には・・・10人の同じくらいの年齢の人たちがいた。あっ、人じゃなかった、ロボットだ・・・。

【祐樹side】
 今日は新しいロボットが来るらしい。それに、初めての女ロボットらしい。今までは作るのが難しいと言われていた。それに亜土さんは成功した。
まぁ、どうでもいいや・・・、と思っていると外とつながっているドアが開く。そこに立っていたのは亜魔野さんと黒いパーカーに、黒いミニスカートに、黒いニーハイソックス、黒いヒールブーツで肩より少し長い黒髪と真っ黒な瞳・・・黒多いなぁ・・・。でも、肌はかなり白くて右目を眼帯で隠している。なんで、ロボットが眼帯なんかしてるんだ?まぁ、俺は安呂夭軍のリーダーだから、ほかの奴よりも優しくしてあげないとなっ!

【嵐side】
 部屋に入るとみんながこっちを見ていた。
「みんな、聞いてくれ。今日から安呂夭軍に入る嵐だ。初めての女の子だから仲良くしてあげてね♪」
「はっ、はじめまして、嵐です。え~っと・・・」
「あっ、あと詳しくは嵐D-612のダークだ。」
D-612?ダーク?なんのころだろう?よくわかんないな・・・。
「はじめまして、嵐ちゃん。僕は祐樹L-91のライトだよ!よく意味がわからないかもしれないけど、祐樹ってよんでね!よろしく。」
祐樹くんは軽く笑う。でも、心の中はきっと笑ってないと思う。
「あと、副リーダーの和磨F-152のファイヤー」
「これからわかんないことたくさんあるとおもうけど、がんばろうね!」
弓矢をもっている少年・和磨くんはニコッっと笑う。
「賢人F-123のフリーズと涼太S-124のスノウ」
「「よろしくね!」」
「わからないことがあったら僕に聞けばわかるよ!」
「安呂夭軍のなかで一番頭悪いから、こいつww」
とても顔が似ている賢人くんと涼太くんはどうやら双子らしい。涼太くんは「もうなんでそんなこと言うの!」と言って、賢人くんは「本当のこと言っただけだしww」と涼太くんを馬鹿にして笑っていた。
「拓海W-155のウォーターと雷人T-86のサンダー」
「その靴可愛いね。どこで買ったのぉ?」
「また、マネするきか!?」
少し髪が長くて目がパッチリしている拓海くんは「だって可愛いんだもん!」と言うと、ほっぺを膨らませる。背が高くて黒いロングコートを着ている雷人くんは「また、迷惑かけるつもりかよ・・・」とかなり呆れていた。
「啓吾W-187のウィンディーと令央S-68のソング」
「おい!令央、いい加減気付け!」
「あっ、ごめんごめん」
黒とネズミ色のグローブが特徴の啓吾くんは「もう少し音量下げろよ」と注意すると、黒と緑のヘッドホンが特徴の令央くんは「これ以上下げたら聴こえなくなるよ」と、みんなよりも高い声を出す。
「堅R-69のロックと亮平M-1510のミラー」
「こんにちわぁ、ボク堅だよぉ」
「・・・」
たれ目なのに見た目によらず背中に大剣をかついでいた堅くんは「あっ、ごめんね。亮平はそんなに人にしゃべらないんだぁ」と、あくびをすると今までずっと無表情だった亮平くんが「堅、行儀悪い」と相変わらず無表情のまましゃべる。
「あとは・・・あれっ?」
亜魔野さんが何かに気づく。すると、私たちが入ってきたドアとは反対側にあるドアが開く。
「あっ、きたきた!えっとこいつが未知也S-1211のシャドウ、未知也、この子は新しくきた嵐D-612のダーク」
ドアの先にいたのは、無表情で目がつってる未知也くんという方。
すると部屋の中央のところの壁にあったモニターが砂嵐になると、さっきの仮面をかぶった人がいた。
「あっ、さっきの・・・」
「そうだ、嵐さん。この方は亜土さん」
亜魔野さんがその事を言った瞬間、未知也くんがおどろいたようで怒ったようすになる。
「おい、お前!亜土に会ったのか!?」
「えっと、その・・・」
私は未知也くんに思いっきり睨まれてしまって声がなかなか出ない。
「そうだよ。僕は嵐と会ったよ。」
「うそだろ、じゃあこいつが一番強いって言ってんのかよ!?」
「それはまだヒミツだよ。そうかもしれないし違うかもしれない・・・。」
と言うと、モニターは砂嵐になってまた真っ黒に戻る。
「おっ、おい!ちゃんと説明しろよ!」
とバンッ!とモニターを叩くがモニターはビクともしない。すると、こっち向かって歩いてくる。
「俺は、お前が一番強いなんて絶対に認めない!絶対に何があってもお前をぶっ壊すからな!」
と言うと、ドアが反応して開くとスタスタと出て行ってしまった。
「おい、まてよ!」
祐樹くんまでどこかに言ってしまう。
「亜魔野さん、さっき未知也くんが言ってた事って・・・?」
「実は、亜土さんに会えるのは僕と安呂夭軍のなかで一番強いロボットだけなんだ・・・。それで一番強いのは未知也だと思うんだけど、未知也は亜土さんに会ってないって言ってるし・・・」
亜魔野さんは少し戸惑っているように見えた。
「いや、いいんです。私気にしてませんから。」
「そう・・・。じゃあ、今日からここでいろいろと生活してね。詳しい事はリーダーの祐樹に聞いて。じゃあ、僕はそろそろ亜土さんのところに戻るよ。」
と、言うと部屋から出て行ってしまった。
「嵐ちゃん、祐樹が戻ってくるまで自由にしてていいよ。」
どうしていいかわかんない私に声を掛けてくれたのはえっと・・・そうだ!和磨くんだ。でも、自由って言っても・・・。それから私はずっとそこに立っていた。
みんなはのんびりしているけど、ここはいったい何をするところなんだろう?