【佐未side】
 今日の天気は曇りだ。もちろん僕のせいでね。
「ねぇ、晴れと雨どっちがいいと思う?」
僕はうしろにいる僕と似ている時未に問いかけてみる。
「別にどっちでもいいと思うよ。まぁ、安呂夭軍が倒せたらいいんじゃない?」
僕も時未と同じ答えだ。時未は僕よりも強い。天莉の中で一番強いんじゃないかと思うぐらいだ。もちろん、ほかのみんなもとても強い。絶対に安呂夭には負けない。
「じゃあさ、どちらかというと・・・?」
「う~ん、俺は雨のほうがいいと思う。できるだけ多く雨を降らす・・・。俺の結論だ。」
「うん、じゃあ・・・そうしてみるよ。」
僕の性格が天気のすべて・・・。僕の性格が暗くなると外も暗くなる。そして雨が降ってくる。かなりの土砂降りだ。僕でこの戦いを終わらしてみせる・・・!
【未知也side】
 あの話から2週間がたっている。そのあと、急に雨が降ってきてそれからは晴れる様子がない。TVのニュースでは予想外の出来事だと言っている。
「あれから、ずっと雨だな。未知也はこのことどう思う?」
と、いつもはバカみたいに笑っている涼太が真剣な表情でTVの画面を見て俺に聞いてきた。
「別に、なにもおもわない。クラウドの気持ちが変わっただけだろ?」
と、のんきにしている俺を涼太は睨んできた。
「俺たちは大丈夫かもしれないけど、ほかの人たちは俺たちのこの戦いのために困ってるんだよ!俺たちの考えている事とあいつらの考えている事は違うんだよ!」
と言ってどこかへ行ってしまった。
なんだよ、逆切れか?
「はぁ・・・」
俺は溜息をついた。・・・なぜ?さぁ、俺にもわからないな。

【涼太side】
 俺は未知也があんなヤツだとは思わなかった。
「涼太、お前は復讐しなくていいのか?」
部屋にあるモニターに亜土さんが映る。
「はい、そうは思ってます。でも、やっぱ自信がなくて・・・。」
「そうか。やはりお前たちはなにもかもが違うな」
俺は亜土さんの一言で自分の中のなにかがまた変わったような気がした。
「俺は・・・俺は、あいつを、クラウドを倒します!」
そうだ、俺が倒さなければほかに誰があいつを倒すんだ・・・?
俺が部屋を急いで出ると、まるで待っていたかのように賢人が立っていた。
「賢人・・・。」
「お前、これ持って行かなくていいのか?」
と言われて何かを投げる賢人。それはお守りだった。
「ありがとう、賢人。」
【亜土side】
「亜土さん。あんなこと言ってよかったんですか?」
不安そうに亜魔野が言う。
「少し傷つけちゃったかもしれないけど、どうやら本気になったみたいだよ。」
何個かあるモニターを見ていると、一つのモニターに涼太が走っている姿が映されていた。
「そう、ですか・・・」
「うん、僕は彼らを信じてるからね」
【涼太side】
 俺は夜中の町の中を走っていた。そう、あいつを探して。
「・・・お前は何を、誰を探している?スノウ」
ある建物の上から声が聞こえてきた。
「お前、誰だ!?なんで俺のことを知ってる!?」
「さぁ、知らないな。お前の主にでも聞いてみろ。」
俺のことを知っている限り無視して行くわけにはいかない。
「いいことを一つ教えてやる。お前のうしろに探しものがいるぞ。」
俺は何も考えずに後ろを振り向いた。暗闇の中から誰かがこっちに向かってきている。
「・・・久しぶりだな。」
そう、それはクラウドだった。性格が違っていて最初はわからなかった。
「やっぱ、この天気お前のせいなんだな?」
「あぁ、そうだ。お前らには関係ないだろ?」
「俺たちには関係ないかもしれない。でも、この天気のせいで人々は困ってるんだぞ!?俺と賢人だって、お前らのせいで・・・」
俺は知らないうちに拳銃を構えていた。すべてはあいつを、クラウドいや、佐未を倒すためだけに!!

【嵐side】
 今朝は久しぶりにいい天気だ。でも、昨晩はすごい土砂降りだった。私たちがいる地下にまで雨の音が聞こえていた。すると、涼太くんが疲れた様子でずぶ濡れになって帰ってくる。
「りょ、涼太。大丈夫か?」
「あぁ・・・」
仲がいい双子の賢人くんが言っても無表情のまま部屋に帰ろうとしていた。でも、ドアの前で一度止まるとあのポスターを見てまた歩き出した。
「あいつなんであんなにあのポスター見てるんだ?」
「さぁ、俺にもわかんない。ただ気になることがあって・・・」
と言うと、ポスターの前に立つ賢人くん。
「俺、たぶんこいつに会ったんだ。」
と、指を指したのは「ドリーム」。
「たぶん、涼太もこいつに会ったんだとおもう・・・。これは俺の勘だけどな。」
彼は笑っていた。いつもとは違う笑い方で・・・。