「器用な事 出来んだな。
けどよ、悪魔と悪魔って契約出来んのか?」
「サユカ様も私も
元々は 悪魔ではありませんよ」
「はぁ?」
「…ジャン・クロード家は 凡そ
七百万年から 伝わる、純血種の
ヴァンパイア一族でした。先祖代々
から伝わり サユカ様の在らせられた、
母君・ユイも純血の姫君だったのです。
…ですから サユカ様も…母君・ユイの
血を、もっとも濃く継いで いらっしゃい
ます。元は“神”と呼ばれる存在………。
サユカ様は、神の子でも在らせられますね」
「…ヴァンパイア?
吸血鬼なのに 悪魔?神の子だと?
可笑しな、おとぎ話は それ位にしろ 」
「事実を申し上げただけです」
「で…、おめぇは?」
「私も 母君・ユイの
双子の息子として産まれましたが、
サユカ様と同様…、悪魔の子と
呼ばれ 叔父のクロノスに 長い年月…、
屋敷の地下牢に隔離されて来ました。
私自身もヴァンパイアの純血種…。
サユカ様が 姫ならば、私は王子に
なる身分…と言ったところでしょうか」
「…―お前ら 兄妹だったのか」
「…サユカ様には
恐らく その記憶はないかと
思いますが、私とは兄妹になりますね」
広い終わった硝子の破片を
暫く見た後、カイルは 手を
握りしめ 跡形もなく、片付けた。
…血が 後から後から、にじみ出たが
傷の完治など ほんの序の口…。傷も
血も消し、窓の硝子も元通りにした…。
「さて… チャールズ」
両手で パンパンっと
埃を払ったカイルは
立ち上がり、眼鏡をかけ直すと
「場所を移動しましょう」
「あ?…なんでだ?」
「此処は あくまでも
リビングルームですから。
お客様をおもてなしする部屋ですし」
「何処に 移動すんだ?」
「“キング”が
サユカ様用のルームを
用意した様子です。そこで
サユカ様の帰還を待つ事にしましょう」
言うが早いが
カイルは リビングの
扉を開けて移動しようと
した、その時チャッキーが
「待ちな」っとカイルの足を止めた。
「どうしました?」
「俺にはまだやる事がある。
スタンの野郎に… 緊急要請さ」
ヒッヒッヒッ… そう笑った
チャッキーに、ニヤリ とした
表情を彼に見せたカイルは…、
「お手柔らかに……。
チャールズ…。“キング”が死なぬ
程度に…。サユカ様を頼みましたよ?
…もし サユカ様に手出ししたら
一生、後悔する事になりますからね……」
「フンッ 安心しな。俺の
目的は、吸血鬼の姫なんかじゃねぇ。
スタンの野郎に…その、ちょっとした
“調教”を教えてやろーっと思ってさ。
躾がなってねぇ坊ちゃま小僧に 一味な!」
