―――夜8時…。

一方サユカは 一人
リビングで、チャッキーを
膝に乗せ コンビニで買って
もらった限定菓子を摘まみながら
ボケ~っと、テレビを観ていた…。

スタンの言った事に
後悔もしていたが 彼が
放った言葉を思い出すと
共に、苛つきながら いっそのこと
マンションに帰ろうかとも思ったが
この土砂降りの雷染みた中 帰るのも
億劫に思い、テレビをつけたまま
自分の意思を改めて 考えていた。

そしてニュースばかりの
テレビに飽きたのか チャンネル
を、映画にしては、又 菓子に……。

映画は「Mr.ビーン」の
お笑い映画では無く「殺し屋もの」
のサスペンス映画をやっていた。

“ピルル… ピルルルル!”

「!」

自分の横に置いてあった
彼女の携帯が けたたましく鳴った。

【着信 エリー】

「はい。…ああ、俺。エリー」

テレビの音が少々
デカかったので 少し
音量を下げ、エリーの着信に出た。

『サユカ』

「なに?エリー」

『スタンにナイフ投げたって
聞いたけど、ほんとなの……?』

内心 平然を装い菓子を、
バリボリ口に 頬張りながらエリーに、

「うん。ほんと」

『…バカね。
スタンに 言われたでしょ?
“銃刀”持つなって。忘れたの?』

「忘れてない。
けど“俺がルール”なんて
言われて、黙ってる事なんか
出来なかった。…エリーだって
そんな事 言われたらキレるでしょ」

携帯の向こうから
エリーの溜め息が聞こえた。
だが、しかし サユカには
自分がやった事…、自分が
スタンに 言った事に…。
間違いなど、存在し無かったのだ。

『サユカ』

「…お説教は ウンザリだ。
エリー…。もう、聞きたく無い」

『…“タブレット”は飲んだの?』

エリーのいう
“タブレット”とは
サユカの『悪魔』を押さえる
薬で 発作を送らせる事が出来る
超特殊な薬だ。調合したのは
エリーの父親であり 元・錬金術者の
『フェイト・ソール・オリエンス』である。
(薬品 通称:BL―XXXV06ε。
“ゼロシックスイプシロン”。
血液錠剤である。それをタブレットと呼ぶ)

毎晩 食後、二錠
“必ず”服用する事を
定められており 飲み続ける事で
普通の人間として、生活を送れる
サユカ専用のタブレットである為
普通の人間が飲んでも 睡眠薬くらいの
効果しか得られない…。エリーも血を
欲するヴァンパイアと化した時があった
ので、父に進められ 飲んだ事があったが
異常な吐き気と、喉の渇きが 襲い、ますます
血を欲する様になり 彼女には禁忌にされた。