彼女はスマホを
玄関の靴入れ棚の上に
置くと「…はぁ~い」っと
ダルそうな声を出して玄関の
ドア・うち鍵を外し、玄関を開けた。
…そこに居たのは配達業者の男で
なにやら、綺麗に包装された
大き目の箱を持ってサユカを見ている。
一瞬にして、彼女はその男を怪しむ。

「……何?」

サユカは不機嫌そうな
声を出して その配達業者の男に言う。
しかし、配達業者の男は サユカの
不機嫌そうな声を聞いた途端、ニコリとし

「Ms.サユカ・ジャン・クロード様
ですよね?それとも… Mrs.かな?(^^)」

「どちらでもいい。
それに もう直ぐ、苗字
ウィリアム・フォードになる。
ジャン・クロードは 仮の苗字だ」

相変わらずとして
配達業者の男に対し、
ぶっきらぼうな話し方だった。
それにしても… 玄関のドアから
外の吹きすさぶ風は、もはや
冬の様なもので 下にキャミを
着ていて、パーカーを上から着ても
まるで意味が無く 今直ぐにでも
寝室に逃げ込み、猫の様に
丸まりたいっと 思ったサユカだった…。

配達業者の男は
相変わらず ニコリとしたまま、

「ええ(^-^)
ニュースで 伺っていますよ♪
スタン・フィールド1の超大金持ち
にして、今や市長候補補佐で在らせられる
スタン・ウィリアム・フォード様の
電撃結婚!ですよね(^ー^)
アレには 驚かされましたよ(^o^)」

「市長候補補佐は
あくまでも デマだろ…。
スタンは、そんなのなる気無い」

「そ… そうなんですか」

「…それより何?
こんな朝っぱらから。
俺、これから仕事なんだけど」

「ああ、貴女宛に
荷物が 届いてますよ(^o^)」

面倒だったサユカは
とっとと サインを済ませると
綺麗に包装された大き目な箱を受け取る。

「…頼んだ覚え、
無いんだけどな コレ……」

「ですが、貴女宛になってますよ?
じゃあ 有り難う御座いましたぁ~!」

言うが早いが
その配達業者の男は、
さっさと サユカに、
ニッコリし マンションを後にする…。

っと 又、スタンから着信が……。

『おう!ハワードの奴、
後 20分位には そっち着くって(^^)』

「うん………。有り難う」

『…なんだ?どうかしたのか?』

サユカは 玄関を閉め、
大き目の箱を抱えて ソファーに
腰を下ろして、スタンの着信に出た。
…どうやら 彼女の声のトーンが
低いのに、何かあったかと気付いた様。

「な…、何でも無いよッ!」

慌ててスタンに
言ったつもりだが
彼には サユカの嘘は、お見通し。
「ふーん…」っと スタンは
言ったのだが、嘘を隠すサユカを
黙っている訳にもいかなかった。
サユカは スタンに「ちょっと待って」
というなり、寝室へコートを取りに
行き 羽織って、又 リビングへ行く。

「……。…あれ?」

さっきまで ソファーに
置いてあった大き目の箱が無い…。
床にでも、転がったのだろうか?
サユカはスマホ そっちのけで
テレビ周辺を探し回った。
スタンは、周りをゴソゴソ探し回って
いるサユカに「おい…。お~い?」
などと 言ってはいたが、サユカは知らん顔で
箱を探すが、まるで 忽然と消えたかの様…。
サユカは、5分位 あちこち探したが
見付からず、諦めて スマホを手に取った。

「ごめんごめん(^-^;
口紅が 床に転がっちゃって
探すのに、時間かかっちゃった」

『………』

「もしもし…?スタン…?」

『なに 隠してんだよ』

「え…」

『俺に、ナニを隠し事
してんのかって聞いてんの』

「………」

スタンの声は
もはや いつもの
優しい声を失っていた。
…声を低くし、以下にも
怒っているのが 手に取る様に解る。
サユカは、スタンに……
嫌 婚約者である彼に 隠し事を
するのが、嫌になってきた。
こんな訳の分からない配達物の
為に スタンと喧嘩をするのが……
彼に、隠し事するのが…………。

次の瞬間 スタンは
いつもの優しい声で、

『何かあったんだろ?(^^)』

「!」

『俺等 もう直ぐ、
結婚すんだからな(^o^)
隠し事は ナシだぜ?ハニー(^ー^)』

「……スタン(*´`*)」