廊下を歩いて、瑛未の教室を目指す。
下の階に降りようと、階段を下っていた時
「―…高橋くん!!」
すれちがいざまの知らない女に声をかけられた。
「……何?」
瑛未に会うんだから、呼び止めないでほしい。
そう思ったけど、無視するのも悪いので返事をした。
女は、顔を真っ赤にして小さい声でつぶやいた。
「…おせっかいかもしれないけど……彼女…男の子とキスしてた…よ。」
――…うぜぇ
……聞きたくねぇ。
「…教えてくれてありがとう。」
「…高橋くんが可哀想だよ!!別れた方がいいよ。」
―…ドカッ!!
オレは、足で壁を蹴った。
その光景にびびる女。
「…悪いけど……おせっかいなんだよ…」
やっと出た言葉は
低く、かすれた声。
目の前の女は、泣きそうになりながらオレの目の前から立ち去って行った。

