少し寝過ぎてしまった。

隣には先に起きていた先輩が私の髪の毛を触りながら笑っていた。


「起きたか。なぁ朝香‥」

「はい。どーしました?」

「‥‥‥‥‥好きだよ
お前は幸せ?」

「幸せですよ2番目でも。」

「お前の1番は俺?それとも秋?」


そんなこと聞かないで欲しかった。
その質問には答えれない。

「私には1番なんていません」



「なぁ朝香。別れよっか」



‥‥‥‥え、なにいってんの?


「別れよう。俺にはお前を幸せにできないよ。お前のことが好きなのが辛いんだ。これ以上泣かせたくない。秋が幸せにしてくれるよ」


違う。違うよ。


「朝香、今まで俺お前のことが好きなんだと思ってた。今でも好きだよ。きっとお前も俺のこと好いてくれてる。でもさ、それって過去の記憶の俺たちが綺麗だったこと。それを好きでいるのを勘違いしてたんだ」

「どーゆー意味ですか?」

「あの時の俺たちは純粋にその時の今を楽しんでた。そして、お互いが好きだった。そーだよな?」

「はい。良い思い出です。でも!それとこれとは違います!」

「んーん。違くないよ。俺がお前を1番にできないのは、思い出のままだからな気がする。朝香の1番が決めれないのもそーだよ。」

私は何も言えなかった。

ただ私たちは過去の思い出にすがってただけなのかな?

「朝香。お前が今1番安心できて1番楽しませてくれて1番信頼できて1番好きなのは誰?」









「‥‥グズッ、ぅ、ごめんなさい。

秋です。秋が好きです。」




「うん。そーだと思った。」




「先輩。好きでした。綺麗な思い出をありがとうございました。」




「こちらこそ。ありがとう。
ひとついっていい?


お前が俺を好きになるより前に。

たぶん俺がお前を好きだった。


名前なんて知らない神崎のこと。」





知らなかったよそんなこと。


遠回りしすぎたんだね。


もっと早く気づけていたら2人とも
こんなに傷つかなくてすんだかな?



「またな神崎」



そー言って先輩は別れを告げた。