そよ風が吹く。


あたたかい、春のにおいにつつまれて


そんなとき、ふとおもいだす。




あのころの自分。あのころの私。



あと、



あのころの大切な人…



10年前の事、



あなたは



覚えていますか―――――――?


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私、奈々野ゆうり15歳


中学三年のもうすぐ受験生です。


私はずっと前から行きたい高校があった。


先生からは、ぎりぎりだが受かる確率は十分にあるという。


私は猛勉強した。


机に向かって1日12時間。



受験もきっと




受かると思ってた。












結果…




落ちてしまい、第一志望校は無理だった。


じゃあ第二は行けるんじゃ・・・と思ってたが、


それも落ち・・・。



私は、第一志望校よりずーーーーーーっとレベルの低い高校になってしまった。


お母さんは仕方ない、仕方ないよ。


と言ってるが


私はショックだった。


涙をこらえたわたしは途方にくれたあげく、


受験の帰り際、私はあるところへ立ち寄った。



そこは公園。



昔、幼なじみと遊んだところ。


よく、よつばのクローバー集めしたなぁと思いながら


探してみた。


昔はたくさんよつばがでてくる公園として有名だったが


今はどうだろう?


私は葉っぱをかぎ分け探してみることにした。


葉っぱをかぎ分けても


出てこない。


さがしても、さがしても・・・



なぜか私は泣いていた。


誰もいない公園で、一人。


さむくて、あの、はるのにおいの風はふいていなくって。


これから私はどうなるんだろう


私の描いていた未来と違ってない?


・・・



トントン。



背中をたたかれた。


びくっとした。





顔を恐る恐るあげ、顔を見ると――


10年前の彼がいた。


一瞬誰かわからなくなっていた。


なんでここにいるの?



あなたは死んだはずなのに―――。