それから剛志はうちに来ることがないまま、1週間ほどが過ぎる。

私は、取り立てて変わらない毎日を過ごしていた時のこと、剛志から電話の着信があったのに気づき、仕事帰りに携帯から電話をした。

「もしもし剛志さん?お久しぶりですね~、電話番号教えた割には電話来ないから、なんだろうと思いました」

私は、そう言って笑いながら剛志に言う。

剛志は「ちょっと待って掛けなおす」と言って、一旦電話を切った後、数分後、電話を掛けて来た。

「今日は仕事終わったの?家に遊びに行ってもいいかな?」

その一言に私は、少し黙り込んだ。

車のエンジンキーを回したまま、
どうするべきかを考えたのかもしれない。

「剛志さん1人で・・・でしょうか?」

「そうだけど」

「口実は用意できてるんですか?」

「用意したよ」

「口実を用意してまで来る理由はなんですか?」

「・・・・・・」

「その理由次第では、私は、家に剛志さんを呼べないです」

本来、男女の間で引かなければならない一線と言うものが私には見えていた。だから、既婚者である剛志を簡単に招き入れる事は言えなかった。

でも、剛志の、その理由によっては、私は招き入れるのかもしれない・・そう確信していた。

そして私の中に確信を持たせた剛志の言葉は

「いつも、頭の中から、おまえの存在が離れなくなっちゃったみたいなんだけど」

その言葉だった。

「それは私に責任はあるんでしょうかね?」

「どうかな?俺は責任を取って欲しいけどね」

「そうですか、なかなかのリスクある責任ですよね。これって」

「そうかもしれないね」


その日の夜、剛志は私の部屋に来た。

私達は朝まで肌を寄せ合った。