痛い・・さっき、何かの拍子に擦りむいたらしい。

膝が痛い・・・

それに腕も痛い、浩司が強く掴んだ腕も、ハンパじゃなく痛い。

最近、買ったばかりのシャツだったのに、直しもきかない程、破きやがって。

今から警察に行く?どうしたらいい?

私は、苛立つ感情を抑えながら、荒木に電話をした。

3コール
4コール

・・・・

7コール・・・


この日に限って荒木が電話に出てくれない。

もしかしたら、また、どっかのヘンな女を連れ込んでセックスしてるのかもしれないし、どこかで友達とカジノでもやって酔っ払っているのかもしれない。

そう思ったら、バカバカしく思えてきて私は電話を切った。

そして、そのまま、家路に着いた。

寝たい。とにかく寝たい。

疲れた。明日も仕事あるし。

帰ろうかな・・東京に。


そんな事をぼんやり思いながら

「おまえAV女優だろ?」

あの浩司の一言が頭の中いっぱいになって

私は、風呂場で1人、泣いた。

怖かった。自分をどのくらいの人が知っているんだろうか。私が裸になって他の男とセックスをする映像を、どのくらいの人が見てるのだろうか。

これがアダルトビデオの女優をやると言うリスクなのだ。

今更、気づいたって遅い。

後悔したって遅い。

私は、紛れもなく

AV女優だったのだから。。