そして、ふとした瞬間、私は、ある思考で停止した。

このまま、無抵抗になって、こいつらにヤラせてやろう・・・

抵抗しても、きっと逃げれないかもしれないし抵抗しなくてもダメかもしれないし、この数時間後、私は、どんな姿で、ここにいるのか、どうやって帰るのかなんて想像できないけれど、でも、私は今、抵抗するのは、やめた方がいい・・

何故か、そう思った。

私は無抵抗になり、されるがままになる。

何人の男が私の身に触れたかなんて覚えていない。

でも私は、ただ無抵抗になっていた訳じゃない。

ドアの場所を探していた。出入り口に一番、行きやすい場所を探していた。

その時、私の上に馬乗りで覆いかぶさった男が「俺1番ね」と言って上着を脱ぎだした。

今だ!!

私は、その瞬間に、身をよじるように、その場をすり抜け、私を取り押さえようとする、何人かの男を、ありったけの力で払いのけ、ドアのノブを握る。

浩司が私の腕をノブから剥ぎ取ろうとしたが、私は、浩司を睨んだ。

「あんた、覚えておけよ!」

そう言って、浩司を突き飛ばし、部屋の外に飛び出す。

浩司は私の後を追ってきたので、私は、急ぎ足で車に乗り込みエンジンを掛けた。

浩司は、私の車の窓ガラスをバンバン叩き「降りてこいよ!」と怒鳴り始めた。

私は、そのまま振り切るように、車を出そうとしたが、浩司が邪魔で走り出せない。

すると浩司が「ごめんって!やりすぎた!謝るから!」と、いきなり謝罪を始めたのだ。

私は窓ガラスを開け、謝る浩司に

「ふざけんなバカヤロー!」

そう履き捨てて、ギアをバックに入れ替え、後方から、そのまま走り去った。