その後、荒木が「何故ソープで働いてるの?」と聞いてきたので、私は今まで誰にも話したことの無い、話を荒木に初めて打ち明けた。

全てが、うまく行っていて、私は美容師として頑張って居た事。

彼氏が出来て、カッコイイ彼氏だった事。

その彼氏に車を貸したら借金まで付きで戻ってきた事。

周囲に迷惑を掛けずに、何とか自分で自己処理したい事。

今、美容師の仕事が出来なくなってしまった事。

銀行からの融資がダメだった事。

厄介なヤクザまがいの金融屋と縁を切りたい事。

私は話しているうちに走馬灯のように思い出してしまい、荒木の前で、ボロボロと涙を流してしまった。人前で涙を見せたのは、何年ぶりだろうか・・・

何故か荒木の心地よい話か方が、私の張り詰めた糸をいともかんたんに切ってしまったらしい。

荒木は、うなずきながら、私の話を黙って聞いてくれる。
それだけでも、この時の私には十分だった。


荒木は、タバコに火をつけて、ふぅ~っと一息吐くと、私の頭を撫でた。

「よく頑張ったな~」そう言って笑った。

そして、真剣な顔で、私にこう言った。

「俺、そのヘンな金融屋と縁切らせてあげる事できるよ」

「・・・・・」

「だたし、俺流の取引とやり方だから、あくまでビジネスだけどね」

「ビジネス?」

「冷たいとか情が無いとかじゃなくて、ビジネスとして俺に利益があるなら、あゆみちゃんを助けるよ」

「・・・・・」

「ただし、慈善事業じゃないから、ビジネスじゃなければ助けられない」