桜

それから、１週間ほど、私は「高収入求人情報誌」とにらめっこをしながら、果たして風俗の仕事が自分に出来るのかと考え、悩んだ。

もう、行方知れずの、彼氏の事なんて考える余裕もなかった。
でも、ふとした時に、この彼氏の事を思い出すと、共通の知り合いに電話をかけて、「まだ、居場所はわからないのか」と、しつこく聞いて回った。

この彼氏は、クラブに遊びに行ったときにナンパで知り合った男。
フリーターで自分より３つ上だった。ボロいアパートで１人暮らしをしていて、ＤＪになる為に、勉強していた。そんな男に、魅力を感じて、付き合ったのは私。
強制的に、この男の彼女にされた訳ではない。互いに同意して付き合って私は自分の意思で自分の車を、この男に貸した。

その結末が、これだったと言うだけ。

どこに責任があるの？と考えると、その責任は、男がトンズラした以上、私にしかないと思った。

もう、いいんだ。仕方ないんだ。私が、自分で解決すれば、親にも店にも迷惑がかかることもないし・・・・と、頭の中では綺麗に偽善者ぶって、まとめてみたところでも・・・・。

本音は、こんな失態がバレて、周囲に冷たい目で見られたり叱られるのが嫌だったんだ。

自力で解決しなきゃと思ったのは、ただ、それだけの事だ。

私は自分が可愛いから、これ以上、寂しくなりたくなかったんだ。

私は、携帯電話から、風俗店に電話をかけた。

「はい！もしもーし？」

店員が元気な声で電話に出た。

「あの、求人情報誌を見たんですが・・・・」


私は、風俗嬢としてバイトする事を決めた。